口内トラブル

歯を失った後の治療方法

歯を失うということ

あなたの歯は元気ですか?
永久歯は全部で28本ありますが、何本残っていますでしょうか。
原因は色々あると思いますが、人は年齢を重ねるにつれ、歯の本数が少しずつ減っていきます。
厚生労働省が行った調査によると、65~69歳で、約7.2本失っているとの結果が出ています。
約1/4もの歯を失ってしまっているのです。
一度失ってしまった歯は、また生えてくるワケではありません。
歯が失った所には、インプラント、部分入れ歯、ブリッジなどの人工的に作られた歯を入れるしかありません。
見た目は自然の歯に近い物があり、素材によっては見分けがつかないものもあります。
ただ、自分の口の中に作られた異物を入れるのはあまり良い物ではありません。
80歳までに20本は自分の歯を残そうという8020運動があるように、歯は大切にしなくてはいけない物なのです。
歯を失うことでどのようなリスクがあるのか、そして人工的に作られた歯を入れるリスクをお話したいと思います。

歯が失われる原因

歯を失う原因で、一番多いのは歯周病(42%)で、二番目が虫歯(32%)と言われています。
歯周病と虫歯の原因は、口内に潜む細菌の塊が磨き残されたことで発症してしまいます。
細菌の塊はプラークと呼ばれて、時間が経てば石灰化してしまい、歯磨きでは取ることが出来ません。
この時点での治療法は、プラークや虫歯になった部分を削り取っていくことしかできないのです。
歯は削られれば、削られるほど寿命が短くなってしまいます。
虫歯が大きくなると、治療法として神経を抜くこともあります。
神経を抜かれた歯は、栄養を受け取るが出来なくなってしまうので、死んでしまいます。
歯の治療は再生させるわけでなく、悪い所を乗り除くという治療法です。
一度治療をすると、最終的には歯を抜く可能性が高くなってしまうのです。

失った後の治療法

歯を抜けたままになっていると噛む力が低下するだけでなく、残っている歯に負担をかけてしまいます。
それだけでなく、歯が抜けてしまったスペースに他の歯が倒れてきてしまうのです。
歯は互いに支えあっています。隣の歯が抜けてしまうと噛んだ時に、力の加わり方のバランスが崩れてしまい、空いたスペースに倒れこんでしまうのです。
この空いたスペースは、隣接歯だけでなく、対合歯(上の歯)にも影響を与えます。
今までかみ合っていた部分がなくなってしまうので、それを求めて歯が骨から飛び出してきてしまうのです。
このように空いたスペースにすべての歯がずれこんできてしまうのです。
全ての歯がズレてきてしまえば、噛み合わせも狂ってきてしまい、顎関節症のリスクも増えてしまいます。

そのため、失ったスペースには新しい歯を入れてあげるのです。
歯を失った後は、人工の歯を入れるしかありません。
保険適応内で作成できる人工の歯が、部分入れ歯ブリッジという方法です。
部分入れ歯は、左右の歯に金属で引っ掛けることによって空いた隙間を埋める方法です。
隣の歯に金属のフックをかけて力を分散させるので、健康な歯に負担をかけてしまいます。
ブリッジは、左右の歯を削り、3つの歯が連なった人工の歯を装着する方法です。
隣の歯が健康でも、削って土台にしないといけないのでリスクがあります。
ただ、入れ歯のように毎回外さなくても良いのは非常に楽です。

これらの他に、インプラントという治療方法もあります。
インプラントは、土台から作成する方法で、あごの骨に土台となる人工歯根を打ち込みます。
あごの骨付近には、神経や血管が通っていて万が一傷つけてしまうと、唇がマヒしたりすることもあるので慎重に手術をしていきます。
無事土台が打ち込めたら、骨に馴染むのを待って、その上に人工歯を装着します。
入れ歯やブリッジのように左右の歯に負担をかけるという心配はないのですが、手術をしないといけないという点と、時間がかかるというデメリットがあります。
そして、体の中に異物を挿入しなくてはいけないのです。

人工物を口内に入れるという事

さて、上記に書いた治療法を見てどう思いましたでしょうか。
どの方法も失った歯を補う方法ですが、少し悪い面を書きました。
新しい歯を入れるということは、健康な歯を削ったり、負担をかける、もしくは人工歯根などの異物を骨に打ち込まないといけないのです。
かといって、人工の歯を入れなければ歯がズレてきてしまって、噛み合わせが悪くなってしまいます。
たった1つの歯を失うことがこんなにも周りの歯に迷惑かけてしまうのです。

人工の歯がすべて悪いというワケではありませんが、自然の歯の方が絶対に良いと、これだけは断言できます。
段ボールの中に腐ったミカンが1つあると周りもどんどん腐っていく。
これと同じように、歯が1つでもかけてしまえば、全部なくなるまでは時間の問題なのです。(全部なくなる前に、寿命が来るかもしれませんが…)
歯を失ってしまうと人工の歯を入れるしかありません。
究極の予防は、歯を1本も失わない事なのですが、人生そんなにうまくいきません。
なるべき人工の歯に頼らずに生きていきたいものです。