矯正治療中の痛みはストレスに
マウスピース矯正からワイヤーブラケット矯正まで、どのような歯列矯正でも歯を動かすことで痛みが出てしまいます。
歯列矯正は、歯に圧力をかけて理想の位置へ移動させる方法です。
歯が移動するときに、歯根の周りにある歯根膜が炎症を起こすため痛みが生じます。
マウスピース矯正であれば新しいアライナーに交換したときに、ワイヤー矯正であれば、月に1回の調整を行った日から3~4日は歯が痛みます。
私も昔、ワイヤー矯正を行っていたので調整し直した後の痛みは覚えています。
鈍痛が全体を覆うような感じで、あまり良い物ではありませんでした。
話すのも面倒になるし、食事も消化がよくて柔らかいものを選んでいました。
また、装置により口内が傷ついてしまい、歯肉炎や口内炎と言ったトラブルが起こることもよくあります。
歯列矯正中の痛みを和らげる方法はいくつかあります。
痛みを和らげる装置などもあるのですが、今回は自分で手軽に行える対処方法をご紹介したいと思います。
矯正中に痛いのはなぜか
矯正治療中の痛みは2種類あります。
1つ目は歯が動く時に感じる痛みです。
歯を移動させるために圧力を加えると、歯根の周りにある歯根膜が動いていく方向に圧迫されます。
歯根膜は一定の厚みを保とうとするので、縮んでしまった側は骨を溶かしてスペースを確保しようとします。
この圧迫されて骨が溶かされている時に、細胞が活性化してしまい炎症が起こってしまうのです。
痛みがあるという事は、歯がしっかり理想の方向へ移動しているという事なのです。
2つ目の痛みの原因は装置による痛みです。
マウスピース矯正ではほとんど起こりませんが、ワイヤーブラケットを使った矯正であれば頻繁に起こります。
歯の裏側に装置を装着するリンガル矯正には必ずと言っていいほど起こります。
歯に装着しているブラケットに唇や口内、舌が引っ掛かってしまい、傷ついてしまうのです。
そういった傷口から細菌が入ってしまい歯茎炎や口内炎になってしまうのです。
特に矯正治療を始めて間もない頃は、慣れていないため痛みを感じやすいでしょう。
装置に慣れてくれば口の中の環境にも慣れてきて傷つくことも少なくなります。
歯茎の痛みを軽減させる
歯が動くときに痛みを感じる場合の対処方法で、一番手っ取り早く効果があるのが痛み止めを飲むということです。
どうしても我慢が出来ないという時には、使用する事をお勧めします。
とは言っても、常に飲むのではなく、寝る前や食事の前など痛みが特に気になる時に服用してあげて下さい。
市販の鎮痛剤でも構いませんが、歯医者さんでも痛み止めを出してくれます。
調整後の痛みが気になる方は、歯科医に相談してみてください。
このほかに、歯茎のマッサージを行うのもおすすめです。
電動歯ブラシなどで歯茎の表面をマッサージしてあげて下さい。
最近では歯茎のケアを考えられた電動歯ブラシも多く登場しています。
歯茎の血行をよくするために低刺激で優しくたたいてくれるような物を選ぶといいでしょう。歯茎は磨くのではなく軽くたたくようなイメージでマッサージしてあげて下さい。
指で軽く叩いてマッサージするのも有効ですが、指圧でする場合はキレイに手を洗ってからにしてください。
また、食塩水でうがいをするという事も有効です。
食塩水は口内の浸透圧を変化させる役割があるので、多少痛みを抑えることが出来ます。
コップ一杯にスプーン1さじの量を溶かして口内をゆすいでください。
矯正具で口内が傷ついた場合
歯が移動するときではなく、慣れない矯正具で口内が傷ついてしまった場合の対処方法です。
ワイヤー矯正では器具が口内に触れるため傷ついてしまうので、ふれないようにしてあげるのが理想です。
よく使用するのがリップガードとワックスです。
リップガードはシリコンで出来ており、ワイヤーにあてがうことで直接触れることを防ぎます。
また、ワックスは自分で使用したい分だけちぎって、矯正具につけていきます。
常温で柔らかくすることが出来るので、ワイヤーが壊れてしまったときなどの緊急時にも使用することができます。
歯の裏側に装置を付けている人にはすごく重宝します。
両方とも、歯科医が処方してくれるので痛みが気になる場合は相談してみましょう。
マウスピースの場合は、口内が傷つくという事はほとんどありません。
マウスピース自体がかなり薄いため、装着時の違和感があまりないのです。
歯が動く痛みを感じるのであれば、オルソパレスという痛みを軽減する装置があります。
近赤外線で歯の細胞を活性化させるため、歯の移動も早くなり、痛みも軽減するという2つのメリットがあります。
ただ、料金が別料金になることと、15万円と少し高額になります。
痛みは耐えるしかない
矯正中の痛みは基本的に耐えるしかありません。
鎮痛剤や歯茎のマッサージで多少は緩和されますが、痛みをゼロにすることは難しいでしょう。
矯正具の締め付けが強く、痛みが大きいときのストレスはかなりのものです。
精神的にもイライラしてしまいささいな事でも敏感になってしまいます。
痛みがあるという事は理想の歯並びに近付いている証拠と前向きに捉えましょう。
心の余裕があれば少しは痛みも緩和されるかもしれません。
どれだけ痛みがあっても時間が解決してくれます。