歯の治療は1回で完了できない
虫歯を1本治療するのに、なぜこんなに回数がかかるのだろう。
歯医者が儲けようとして、無理やり治療を長くしているのではないか。もしかしてヤブ医者!?
治療が長ければそう感じる人もいるのではないでしょうか。
実際私も、通院をするのが途中で面倒になってしまい、仮歯のまま行かなくなったという事もありました。
虫歯が1本だけであれば良いですが、何本もあれば「いつ治療が完了するのだろう?」と疑問に持つ方もいるでしょう。
結論からいうと、歯の特性上、きちんと治そうとすれば時間がかかります。
また、一度に治療したくても出来ない理由が歯医者にあるのです。
今回はこの2つの謎を解いていきましょう。
歯は治療回数がかかる部位
虫歯の治療には時間がかかります。
初期の虫歯であれば1回で完了することもありますが、重度の虫歯であれば5~7回ほど。
多い人では、10回以上かかるという人もいます。

初期の虫歯はC0と言い、ブラッシング指導やフッ素を塗布するといった治療をします。そのため回数が多くかかる事はありません。
軽度の虫歯はC1と言い、虫歯がエナメル質にとど達している場合の事を指します。
この場合は、虫歯の部分を削らなければいけません、そして削った部分に詰め物をして完了となります。治療の回数は1~2回ほどかかります。
次に中度の虫歯C2です。
虫歯がエナメル質のさらに下層の象牙質まで達している状態です。この状況になると、冷たいものがしみ、痛みを感じやすくなります。
治療としては虫歯を削り、詰め物をしていきます。ただ、削る場所が大きくなってしまった場合は、インレーと呼ばれる詰め物をしていきます。
これには型取りが必要なため、2~3回ほどの回数がかかります。
次に重度の歯C3、C4です。
虫歯が神経にまで到達してしまっていて、強い痛みを感じることが多い状態です。この場合は神経を除去しなければいけません。
神経を除去したあと、根管の内部を消毒し薬剤を詰める治療を行います。この治療をしっかり行わないと、根管に細菌が残ってしまい再発する恐れがあるのです。
菌を殺すまで、時間がかかる方も多くいます。
その作業をしつつ、インレー、もしくはクラウンの型取りをしていくので、4~7回くらいは歯医者に通わなければいけません。
虫歯の治療で、歯茎が腫れやすい人や、根管に膿が溜まりやすい人は消毒に回数が多くかかる事もあります。
全ての菌をキレイにしてあげないと次の治療に踏み出せないのです。
虫歯菌が残っている状態で、詰め物をしてしまえばすぐに再発してしまいます。
それを防ぐために、きちんと時間をかけているのです。
基本的に、痛みを感じたら放置せずに、すぐに治療を行った方が、回数も痛みも少なくて済みます。
虫歯を一気に治療できないワケ
実は、国の医療削減のために様々なしばりが歯医者さんにはあるのです。そのため1回で出来る治療の範囲というのが決められているのです。
1か月の患者さん1人あたりの平均的な治療費が、東京都の平均の1.2倍以上になってしまうと、行政指導を受けるのです。
内容に関係なく、指導は行われるのでなるべく治療費を安くしなければいけないのです。
当然、1人に対して時間をかけてしまうと料金が上がってしまいます。そのため、治療は1本ずつ、日数をあけて行うことが多いのです。
(日数に関しては歯の治癒に時間がかかる場合もあります。)
ただ、これはあくまでも保険診療の場合です。
全額負担の自由診療であれば、長い時間をかけて一度に全ての歯を治療することが可能です。
実際にそのような治療をウリにして営業している歯科医院もあります。
お金を取るか、時間をとるか。
両方とも求めてしまうと、今の日本で満足した治療を行うのは難しいかもしれません。
虫歯を作らない予防が大事

現代では、治療法が削るという方法しかないため、虫歯は一度なってしまうと、いずれ歯はなくなってしまいます。
治療を行うにしても、どうしても回数と時間がかかってしまう場所なのです。
多くの歯が虫歯になってしまうと、数年単位でずっと歯医者に通い続けて、痛い思いをしなくてはいけないのです。
最近では虫歯にならないように歯医者に通う「予防歯科」というものが注目されています。
セルフケアだけでは限度があるので、専門家による歯のクリーニングを行い、虫歯にならないようにするのです。
虫歯はきちんとケアをすれば、リスクを限りなくゼロにすることが出来る病気です。
日々のケアを意識し、虫歯を予防していきましょう。